iNADO【iNADO CEOの総括】ロックダウン、アンチドーピング、そしてオリンピックの信頼性

Lockdown, Anti-Doping and the Credibility of the Olympics

内容概略

新型コロナ拡大当初、ドーピングが増えるのではという懸念があった。

実際、2020年最初のロックダウンではドーピング検査がほぼ止まり、世界の検査数は前年比で97％減少した。しかしその後検査数は順調に回復し、2021年冒頭までは競技会中止の影響を受け検査数も比較的低かったものの2021年3月には2019年3月の84％に回復していた。オリンピック直前の今ではほぼ通常通りとなった。

アンチドーピング機関のもつツールはこの4年間で進化し、クリーンスポーツの問題に取り組みやすくなっている。情報や調査が重要な役割を果たし、現在では制裁処分の20％はなんらかの調査の結果であり、検査のみに頼らなくてもよい。内部通告も重要なツールで、昨年は775の報告事例がありうち2/3がターゲットを絞ったドーピング検査へとつながっている。

コロナ禍で我々は多くのアスリートのクリーンスポーツに対する真摯な姿勢をみた。今後もアンチドーピング機関は検査漏れを防ぐためツールを増やし続ける努力をしなければならない。しかし、テスト再開とさまざまな予防及び検知方法の使用をみると、東京2020へ向けたアンチドーピングの信頼性には自信をもってよいだろう。