アンチ・ドーピング体制整備事業

わが国においては、世界アンチ・ドーピング規程の署名当事者は、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)と公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、公益財団法人日本パラリンピック委員会(JPC)です。日本政府はこの規程に依拠するユネスコのアンチ・ドーピングに関する国際規約の締約国となっています

国際情勢の変化を受け、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、「署名当事者の規程遵守」をより厳しく求めるため2018年4月に「署名当事者の規程遵守に関する国際基準」を施行しました。この規程改正に伴い、WADAは主要な大会を開催する国を対象とした監査を開始し、同年7月にわが国への監査が行われました。監査の結果、「日本アンチ・ドーピング機構の検査計画立案に際して、統括団体や競技団体が、スポーツ振興くじ申請対応を担う立場にあることから、立案過程に介在し、その結果検査規模の決定が先行して行われている状況は、客観性、独立性に重大な疑義が生じる状況であり、独立性をより強く求める今回の規程改正の趣旨に反する」との指摘を受けました。

これらのWADAからの指摘事項の改善がされない場合は、WADA により規程非遵守(non-complaint)と認定され、2018年4月に導入された国際基準の規定に則り、わが国でのオリンピック・パラリンピック大会や世界大会の開催、また、日本代表選手団が東京2020大会から排除されるなど、厳しい制裁が課される可能性がありました。

WADAにより指摘されたわが国の体制上の問題を解決し、わが国のアンチ・ドーピング体制を国際基準に沿ったものとしていくため、公益財団法人日本スポーツ協会、公益財団法人日本オリンピック委員会、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会、国内競技団体、文部科学省、スポーツ庁、独立行政法人日本スポーツ振興センター、JADAとの協力、連携により国内のドーピング検査の方針・規模を審議するための第三者組織としてアンチ・ドーピング体制審議委員会が設置されることとなりました。

アンチ・ドーピング体制審議委員会では、国内のドーピング検査事業の基本方針(検査の規模と内容)と体制整備に必要な費用について審議をします。委員会での審議を受け、JADAは年間の検査計画を立案し、検査が実施されます。